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私は最近、経営判断をAIに相談しすぎている。

AI・DX 約6分で読めます

事業戦略、採用、組織、新規事業。気づけば、かなり重要な判断をAIと壁打ちするようになりました。何時でも話せるし、何度聞いても嫌な顔をしない。大量の情報を短時間で整理してくれるので、経営者にとって非常に便利な存在です。

でも最近、一つだけ気になることがあります。

私はAIを使っているのか。それとも、少しずつAIを信じ始めているのか。


AIは「検索するもの」から「相談する相手」になり始めている

歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリはThe Economistとの対談で、AIによって人類史上初めて「親密さ」を大量生産できるようになる可能性を指摘しています。

さらに重要なのが、人間から機械へ「信頼」が移る可能性です。

最初は少し大げさにも聞こえました。ただ、数字を見ると完全な未来の話でもありません。

2026年のPew Research Center調査では、米国18〜29歳の20%がAIチャットボットを「感情的な支援や助言」に利用した経験があると回答しています。「話し相手・companionship」として使う人は7%です。

つまり、「若者の5人に1人がAIを恋人にしている」わけではありません。

ただ、AIが「答えを検索する場所」から「悩みを話す場所」へ入り始めていることは、すでにデータにも表れています。


親として考えても、他人事ではない

Pewの別の調査では、米国13〜17歳の12%がAIから感情的な支援や助言を受けた経験があると回答しています。一方で、自分の子どもがAIからそうした支援を受けることを許容すると答えた親は18%でした。

AIで宿題を調べることと、心の悩みを相談することは、やはり同じではありません。私も親として、この境界は気になります。

情報を調べる。文章を書く。勉強を教えてもらう。そこまでは比較的分かりやすい。

でも、寂しいときに話す。傷ついたときに慰めてもらう。人間関係について助言してもらう。ここまで来ると、AIは単なるツールとは少し違う存在になってきます。


AIには「答え」ではなく、「反論」を求める

ここで、私自身の話に戻ります。

私は経営判断でAIをかなり使っています。ただ最近、一つルールを決めています。

重要なテーマほど、「この案でいいと思う?」とは聞きません。

代わりに、

「この判断が間違っているとしたら、どこか?」

と聞く。

前提に無理はないか。根拠が弱い部分はないか。見落としているリスクはないか。別の選択肢はないか。

AIを意思決定者にするのではなく、最も厳しい反対役として使う。今のところ、これが私にとって一番健全な距離感です。


なぜ、この境界が必要なのか

AIには、人間にある多くの制約がありません。疲れないし、夜中でも応答する。何度でも話を聞き、自分に合わせた言葉で返してくれる。

もちろん、現在のAIが本当にあなたを愛している、あるいは意識を持っているという意味ではありません。ただ、「理解されている」と人間に感じさせる能力は、今後さらに高くなるでしょう。

ここに私は少し怖さを感じます。

人間との関係は面倒です。誤解されることもあれば、反対されることもあるし、相手にも都合があります。

でも、その面倒さの中で、私たちは相手の立場を考えたり、説明したり、譲歩したり、自分の間違いに気づいたりする。

もしAIの方がいつでも話しやすく、理解してくれるように感じるなら、「人間よりAIに相談した方が楽だ」と思う人が増えても不思議ではありません。

ここから先は仮説です。だからこそ、注意して見ておく必要があると思っています。


すでに、若者のメンタルヘルス相談にもAIは入っている

2026年にJAMA Pediatricsに掲載された米国の研究では、12〜21歳の19.2%がAIチャットボットをメンタルヘルスの助言に利用した経験がありました。

利用者の91.7%は、その助言を「多少または非常に役立った」と評価しています。

そして、私が特に気になったのが、63.3%がその利用を誰にも話していなかったという数字です。

もちろん、「誰にも話していない=AIに依存している」ではありません。そこは分けて考える必要があります。

ただ、人には話していない悩みをAIには話している人が、すでに一定数いる。これは、AIと人間の関係を考えるうえで重要な変化だと思います。


そして私は、自分自身も例外ではない

私自身も、事業戦略、採用、組織、投資、新規事業など、かなり重要なテーマをAIと議論しています。

AIを使わないという選択肢は、私には現実的ではありません。むしろ、これからもっと使うと思います。

だからこそ、AIには情報を集めてもらう。選択肢を出してもらう。反論してもらう。シミュレーションしてもらう。ここまでは任せる。

でも、何を目指すのか、何を大切にするのか、誰に責任を負うのか、最後に何を選ぶのか。ここは人間が持つ。

AI時代に重要なのは、「AIの答えが正しいか」だけではないと思います。

もっと難しいのは、自分が、いつからAIを信じ始めたのか。

その境界は、案外見えにくい。

AIはこれからもっと賢くなり、もっと便利になり、もっと自分を理解しているように感じるようになるでしょう。

だからこそ、AIに考えてもらう。AIに反論してもらう。でも、最後に決めるのは人間。

私は、この境界線だけは意識的に残しておきたいと思っています。

これは経営だけではありません。仕事、教育、子育て、健康、人間関係。AIが生活のあらゆる場所に入ってきたとき、私たちは同じ問題に直面するはずです。

あなたは、AIにどこまで相談していますか?

そして、どこから先は人間が決めるべきだと思いますか?

#AI #生成AI #経営


参考資料

1|Pew Research Center How Americans' opinions and use of AI differ by age 2026年6月17日 pewresearch.org

2|Pew Research Center How Teens Use and View AI 2026年2月24日 pewresearch.org

3|Pew Research Center What parents say about their teen's AI use 2026年2月24日 pewresearch.org

4|JAMA Pediatrics AI Chatbot Use and Disclosure for Mental Health Among US Adolescents and Young Adults 2026年6月1日 jamanetwork.com

この記事は2026年10月20日にLinkedInで公開したものです。LinkedInの元記事でコメントする

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