李鉉道SMHC株式会社 代表取締役

目次
もしAIバブルが崩壊したら、AI革命は終わるのでしょうか。
私は、むしろ逆だと思っています。
株価が下がることと、技術が消えることは同じではない。
25年前のインターネットバブルが、その一例でした。
AIへの投資は、すでに「産業インフラ」の規模になった
McKinseyは、世界のAI需要を支えるデータセンター関連投資として、2030年までに約5.2兆ドルが必要になると試算しています。
GPUだけではありません。
データセンター、電力、冷却、ネットワーク、半導体。
AIはソフトウェアであると同時に、巨大な物理インフラ産業になりました。
一方、BridgewaterのCo-CIO Greg Jensen氏は、AI投資が「より危険なフェーズ」に入っていると指摘しています。
理由は、
投資のスピードに、収益化が追いつけるのか。
という問題です。
実際、2026年10月の市場では、巨額の設備投資と債務を抱えるAIインフラ企業への警戒が強まり、AI関連株にも調整が広がっています。
しかし、
「AI投資が過熱している」ことと、「AIに価値がない」ことは別の話です。
2000年にも、同じことが起きた
インターネットバブルの時代、通信会社は巨額の資金を使って光ファイバーや通信網を建設しました。
需要を先取りしすぎ、多くの企業はバブル崩壊後に苦しみました。
しかし、一度敷設された光ファイバーは消えませんでした。
残ったのは、
大量の通信インフラ。
供給過剰によって通信コストが下がり、その上からGoogle、Amazon、YouTube、Netflix、クラウドなど、新しい産業が育っていきました。
ここに、現在のAI投資を見るヒントがあります。
AIバブルが残すものは「安い知能」かもしれない
仮にAI市場が大きく調整しても、
データセンターは残ります。
GPUも残ります。
電力設備もネットワークも、人材も残ります。
供給が増え、技術効率も改善すれば、AIを利用するコストがさらに下がる可能性があります。
つまり、
AI企業の評価額が下がる一方で、AIを使うコストも下がる。
そうなった時、本当の変化が始まります。
これまでコストが合わなかったAIサービスが成立する。
中小企業でも高度なAIを使える。
一人や少人数でも、大きな事業をつくれる。
そして、AIが「特別な技術」ではなく、電気やインターネットのような経営インフラに近づいていく。
次の競争は「Model」ではなく「Workflow」
今は、
どのLLMが一番賢いか。 どのモデルのベンチマークが高いか。
という競争が注目されています。
しかし、モデル利用コストが下がり、性能差も縮小していけば、それだけでは差別化できません。
次に問われるのは、
AIを実際の仕事にどこまで組み込めるか。
製造、金融、医療、営業、採用、開発、経営管理。
競争軸は、
Model → Workflow
へ移ります。
「AI企業」より「AIで動く企業」
さらに重要なのは、将来最もAIの恩恵を受ける企業が、必ずしもAI企業とは限らないことです。
製造業かもしれない。
医療かもしれない。
SIかもしれない。
大切なのは、
「営業にAIを入れる」 「開発者にAIを使わせる」
ではありません。
AIが最初から存在するとしたら、この会社をどう設計するか。
組織そのものをAI前提で再設計する。
ここからが、本当のAI Transformationだと思っています。
AI Adoptionから、AI Economicsへ
市場が冷静になれば、
「AIを導入しました」
だけでは評価されなくなります。
経営者に問われるのは、
売上はいくら増えたのか。 粗利はいくら増えたのか。 工数はいくら減ったのか。 顧客体験は改善したのか。 新しいサービスは生まれたのか。
つまり、
AI Adoption → AI Economics
です。
ここまで来て、初めてAIは「技術」から「経営」になります。
私は、「AIバブルが今年崩壊する」と予測したいわけではありません。
経営者として見ているのは、
「もし調整が起きた後、何が安くなるのか」
です。
インターネットバブルが大量の通信インフラを残したように、
今回のAI投資競争は、
大量で安価な計算資源とAIインフラ
を残すかもしれません。
そうなれば、本当のAI革命はそこからです。
AIを持っている会社ではなく、 AIで価値を生み出せる会社。
モデルを持っている会社ではなく、 顧客の業務を変えられる会社。
そして、
「AIを使う会社」から、「AIで動く会社」へ。
次の競争は、ここになると思っています。
皆さんは、AI市場が一度大きく調整した後、最も大きなチャンスが生まれるのはどこだと思いますか?
半導体/AIインフラ/AIアプリ/既存産業のAI化
ぜひ意見を聞かせてください。
参考記事:
この記事は2026年10月22日にLinkedInで公開したものです。LinkedInの元記事でコメントする
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