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いくらあれば、人は「自由」になれるのか。

経営 約4分で読めます

「いくらあれば、もう働かなくていいのだろう」

最近、そんな計算をしていました。

5,000万円なのか、1億円なのか、3億円なのか。

経済的自由を計算する考え方のひとつに、毎月の生活費と実質運用利回りから必要資産を逆算する方法があります。

毎月の生活費をX、インフレを差し引いた実質リターンを2.5%とすると、

年間生活費 12X ÷ 2.5% = 480X。

月30万円なら1億4,400万円。月50万円なら2億4,000万円。月100万円なら4億8,000万円です。

理屈としては分かりやすい。

ただ、日本で長期の人生設計をするなら、私はもう少し保守的に見た方がいいと思っています。

現在の日本では物価上昇が続いています。2026年9月の消費者物価指数は前年同月比2.1%上昇。GPIFの長期運用実績を見ると、2001年度から2025年度までの名目運用利回りは年平均4.62%でした。

一方で、個人の運用では税金や手数料もありますし、毎年同じ利回りが得られるわけでもありません。NISAを使えば運用益は非課税ですが、非課税保有限度額は1人1,800万円です。

そう考えると、実質利回りを2%で見るなら生活費の600倍、1.5%なら800倍。

月50万円なら3〜4億円。月100万円なら6〜8億円。

もちろん、これが「正解」という意味ではありません。将来の運用利回りも物価も誰にも分かりません。

それでも、こうして数字を置いてみると、自分がどの程度の資産を必要としているのかは見えてきます。

ただ、ここまで計算していて、途中で少し違和感がありました。

自分は、何のためにこの数字を計算しているのだろう。

経済的自由という言葉から、多くの人は「働かなくても生きていける状態」を想像すると思います。

でも、十分なお金があっても仕事を続けたい人はいる。会社をつくり続けたい人もいるし、家族との時間を増やしたい人もいる。世界を旅したい人もいれば、社会に何かを残したい人もいる。

そう考えると、経済的自由と人生の自由は、必ずしも同じではありません。

月100万円使いたいとして、その100万円は何のためのお金なのか。

住宅なのか。旅行なのか。子どもの教育なのか。健康なのか。それとも、自分が新しいことに挑戦するためのお金なのか。

同じ100万円でも、中身はまったく違います。

反対に、自分にとって本当に必要なものが明確になれば、必要な金額は下がるかもしれません。

会社経営でも似ています。

「売上はいくらあれば十分か」と聞かれても、それだけでは答えは出ません。

10億、30億、100億と数字だけを追えば、ゴールはずっと先に動いていきます。

先に「どんな会社をつくりたいのか」を決め、そのために必要な売上、利益、人材、資本を逆算する。

人生も同じではないかと思います。

必要資産額を先に決めるより、「どんな人生なら自分は自由だと思えるのか」を先に決める。その方が、数字にも意味が出てきます。

47歳になって、以前より時間について考えるようになりました。

健康に動ける時間。子どもと一緒に過ごせる時間。夫婦で旅行できる時間。新しいことに挑戦できる時間。仕事に本気で熱中できる時間。

お金と違って、こうした時間には期限があります。

お金は後から増やせることがある。でも、過ぎた時間は戻りません。

「50歳になったら」 「60歳になったら」

と自由を先送りし続けることにも、リスクがあります。

経済的自由を目指すことには意味があります。お金があるほど、選択肢が増えるからです。

嫌な仕事を断れる。短期的な利益のために判断を曲げなくていい。家族のために時間を使える。新しい事業にも挑戦できる。

私にとって、お金の価値は「何もしなくていい状態」をつくることより、「自分で選べる状態」をつくることにあります。

最近は「いくらあれば経済的自由になれるか」よりも、

自分は、どんな状態を自由と呼ぶのか。

こちらを考える方が大事なのではないかと思っています。

資産額を増やすことも、会社を成長させることも重要です。

ただ、家族との時間、健康、挑戦、人とのつながりまで削って、最後に大きな数字だけが残ったとき、それを自分は成功と呼べるのか。

経済的自由に、全員共通の金額はないのだと思います。

1億円で十分な人もいるし、10億円あっても足りない人もいる。

その違いは、資産額だけではなく、「どんな人生を送りたいか」で決まる。

だから数字を計算する前に、一度だけ考えてみたい。

あなたにとって、自由な人生とはどんな状態でしょうか。

この記事は2026年10月25日にLinkedInで公開したものです。LinkedInの元記事でコメントする

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